ゴミの生活(四代目)

最近はアマプラをdigってます

2017-01-01から1年間の記事一覧

イケメンという暴力――映画『世界から猫が消えたら』

世界から猫が消えたなら DVD 通常版出版社/メーカー: 東宝発売日: 2016/11/16メディア: DVDこの商品を含むブログ (8件) を見る(441文字)良い映画だった。脳腫瘍ですぐに死ぬとされた主人公が、自分そっくりの悪魔から余命を一日延ばすかわりに世界から一つ…

第二次世界大戦の日本軍の戦死者は、半数以上が餓死 ――飯田進『地獄の日本兵』(新潮新書)

地獄の日本兵―ニューギニア戦線の真相 (新潮新書)作者: 飯田進出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2008/07/01メディア: 新書購入: 2人 クリック: 19回この商品を含むブログ (13件) を見る (691文字)筆者が従軍し、体験した、地獄のニューギニア戦線。生々しい…

非人間的な人間の葛藤は人間的か――芝村裕吏『猟犬の國』(角川書店)

猟犬の國 (角川書店単行本)作者: 芝村裕吏出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店発売日: 2015/09/30メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る (405文字)日本のスパイ、通称イトウ。個人ではなく組織なのでイトウ家。彼ら彼女らは表の世界が「何事もな…

地に足の着いた福島――玄侑宗久『光の山』(新潮社)

光の山 (新潮文庫)作者: 玄侑宗久出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2016/02/27メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る(455文字)東日本大震災以降に書かれた短編を集めたもの。表題作「光の山」」は放射能で汚染された土やらなにやらを一手に引き…

終わらせ方が難しい――白岩玄『空に唄う』(河出書房新社)

空に唄う (河出文庫)作者: 白岩玄出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2016/09/19メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る(442文字)『野ブタ。をプロデュース』の作者による小説語り手・海生は23歳の坊主見習い。父親を早くに亡くし、祖父のもとで…

電流の魔術師の生涯――新戸雅章『知られざる天才二コラ・テスラ』(平凡社新書)

新書765知られざる天才 ニコラ・テスラ (平凡社新書)作者: 新戸雅章出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2015/02/13メディア: 新書この商品を含むブログ (2件) を見る(561文字)二コラ・テスラは交流発電の生みの親。日本では電気=エジソンと思われているが、…

翻訳が待たれる入門書――David Seed, Science Fiction (Oxford, Very Short Introduction)

Science Fiction: A Very Short Introduction (Very Short Introductions) (English Edition)作者: David Seed出版社/メーカー: OUP Oxford発売日: 2011/06/23メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る(973文字)オックスフォードのVery Short Introdu…

トランプ大統領が生まれるまで――町山智弘『さらば白人国家アメリカ』講談社

さらば白人国家アメリカ作者: 町山智浩出版社/メーカー: 講談社発売日: 2016/10/29メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (11件) を見る(621文字)トランプ大統領が生まれるまで、とサブタイトルをつけてみたが、実際は予備選で共和党候補…

何かが足りない――三崎亜記『メビウス・ファクトリー』(集英社)

メビウス・ファクトリー作者: 三崎亜記出版社/メーカー: 集英社発売日: 2016/08/26メディア: 単行本この商品を含むブログ (6件) を見る(本文753文字)三崎亜記の小説は結構読んでいる。ざっとwikiで見たら8冊は読んでいる。好きか嫌いか聞かれたら、好きな…

失踪、不在、喪失――森見登美彦『夜行』(小学館)

夜行作者: 森見登美彦出版社/メーカー: 小学館発売日: 2016/10/25メディア: 単行本この商品を含むブログ (36件) を見る(511文字)京都。大学時代に同じ英会話スクールに通っていた6人。鞍馬の火祭に参加した帰り、長谷川という女性が忽然と姿を消す。10年後…

わかっているけど怖い――貴志祐介『黒い家』(角川ホラー文庫)

黒い家 (角川ホラー文庫)作者: 貴志祐介出版社/メーカー: 角川書店発売日: 1998/12/10メディア: 文庫購入: 38人 クリック: 500回この商品を含むブログ (184件) を見る(484文字)黒い家。不吉。保険会社勤務の若槻は、見知らぬ客から呼び出しを受ける。訪問…

分量が少ない――つかいまこと『棄種たちの冬』(早川文庫SF)

棄種たちの冬 (ハヤカワ文庫 JA ツ)作者: つかいまこと,吉川達哉出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/01/24メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る (本文480文字)物理世界と演算世界に分離した未来の地球。物理世界は環境変動により滅びかか…

書ける、書けるぞ――田丸雅智『たった40分で誰でも必ず小説が書ける超ショートショート講座』(キノブックス)

(本文467文字)たった40分で誰でも必ず小説が書ける超ショートショート講座作者: 田丸雅智出版社/メーカー: キノブックス発売日: 2015/12/22メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (2件) を見る サクッと読める。大事なのはこのハウツーに…

変化は徐々にしかし確実に――中島岳志・島薗進『愛国と信仰の構造』(集英社新書)

愛国と信仰の構造 全体主義はよみがえるのか (集英社新書)作者: 中島岳志,島薗進出版社/メーカー: 集英社発売日: 2016/02/17メディア: 新書この商品を含むブログ (8件) を見る(本文757文字)宗教学者・島薗進と政治学者・中島岳志の対談本。明治から敗戦ま…

美しい映画 ――北野武『ソナチネ』

ソナチネ [DVD]出版社/メーカー: バンダイビジュアル発売日: 2007/10/26メディア: DVD購入: 6人 クリック: 94回この商品を含むブログ (97件) を見る数年ぶりに『ソナチネ』を見た。感想(なぐり書き)。 そもそも中学生のころに親しくしていた先生に薦められ…

民主主義ってなんだ?――坂井豊貴『多数決を疑う』(岩波新書)

(705文字)多数決を疑う――社会的選択理論とは何か (岩波新書)作者: 坂井豊貴出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2015/04/22メディア: 新書この商品を含むブログ (44件) を見る多数決とは集約ルールの一つに過ぎない。多数決やその他の集約ルールで、いろいろ…

読みたい/読みたくない――住野よる『君の膵臓を食べたい』(双葉社)

君の膵臓をたべたい作者: 住野よる出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2015/06/17メディア: 単行本この商品を含むブログ (44件) を見る (566文字)ようやく図書館で読むことができた。作者のデビュー作にして、話題作。高校生の語り手「僕」は周囲とほとんどコ…

砂漠に蜃気楼――デイヴ・エガーズ『王様のためのホログラム』(早川書房)

(1154文字)王様のためのホログラム作者: デイヴエガーズ,吉田恭子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2016/12/20メディア: 単行本この商品を含むブログを見る近々映画も公開される『ザ・サークル』の筆者デイヴ・エガーズの手による小説。翻訳は『ザ・サー…

2016年まとめと2017年の展望

後半、読むペースを上げたが年間100冊に届かず。88冊まで。 以下は面白かったもの一覧。順不同。今年は「すきま時間」を利用してどんどんさくさく読んでいきたい。ということで、正月そうそうやったことはkindleに無料本をDLすることだった。だから必然的…