ゴミの生活(四代目)

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電流の魔術師の生涯――新戸雅章『知られざる天才二コラ・テスラ』(平凡社新書)

(561文字)

二コラ・テスラは交流発電の生みの親。

日本では電気=エジソンと思われているが、エジソンは電球と直流電流。電気の安定供給には、直流よりも交流が良くて、どちらがスタンダードになるのか争う電流戦争がエジソンとテスラの間であった。テスラ=交流の勝ち。

エジソンのほうが一回り上で、クロアチアからアメリカに移民してきたテスラは最初、エジソンのもとで働いていた。やがて決別。エジソンに勝利したテスラは「交流帝国」を作ったかと言えばそんなことはなく、重要な発明はしたが、晩年はかなり苦労をしていた。発明がうまくいかなかったり、ライバルに先を越されたり、特許やビジネスが軌道に乗らなかったり、と理由はさまざま。

日本ではカルト的な知名度マッドサイエンティストとして認識されているかも。エジソンにもマッドなところはあったのだが、それ以上にマッド(と思われている)。面白いのはSF雑誌の生みの親ヒューゴー・ガーンズバックとの親交があったこと。ガーンズバックにとってSFは科学的啓蒙小説であり、科学者こそが主人公。彼にとってテスラはSFのヒーローなのであった。

筆者は日本のテスラ研究の第一人者(在野)。テスラについて知りたければ彼の本を読めば間違いない。

それにしても電気、電波の仕組み、ぜんぜんわからないな…。高校で物理を習ったはずなのだが。まさに魔術。