ゴミの生活(四代目)

最近はアマプラをdigってます

イケメンという暴力――映画『世界から猫が消えたら』

(441文字)

良い映画だった。

脳腫瘍ですぐに死ぬとされた主人公が、自分そっくりの悪魔から余命を一日延ばすかわりに世界から一つものを消す、という取引を持ちかけられる。最初は映画、次に時計、そして猫。ものが消えると、そのものにまつわるものすべてが消えていく。思い出も、出会いも。

脚本は破綻している。考えれば考えるほど、ツッコミどころばかり目立つ。どうやら原作にはないブエノスアイレスのシーンは、ストーリーを根本から破壊している。完全に不要。それでもイケメンと良い音楽、ノスタルジックなロケ地(函館)があれば、それなりに見れてしまう映画ができる。映画が「見るもの」であるとするならば、これは良い映画だろう。主人公が恋人や映画マニアの親友との出会うきっかけは、妄想を具現化したものであり「イタい」ものであるのだが、雰囲気に乗ってしまえばこれもまた見れてしまう。言ってしまえば雰囲気映画で、でもこういった雰囲気が好きならば、別に悪いものではない。

ネットで感想を漁ってみたが、評価が真っ二つなのが面白かった。