ゴミの生活(四代目)

最近はアマプラをdigってます

終わらせ方が難しい――白岩玄『空に唄う』(河出書房新社)

空に唄う (河出文庫)

空に唄う (河出文庫)

(442文字)

野ブタ。をプロデュース』の作者による小説

語り手・海生は23歳の坊主見習い。父親を早くに亡くし、祖父のもとで少しずつ寺の仕事を手伝う。同い年くらいの女性の通夜でお経を読んでいた時、幽霊(?)となった彼女と出会う。彼女の名前は碕沢。海生は彼女を見えるし、触れるし、会話もできるが、彼以外の人間には存在が認められない。ものも動かせないので、海生は彼女のために扉を開け、話し相手になる。こうして始まった奇妙な二人の生活は、やがて双方に変化をもたらす。

…という、非常によくある「幽霊話」。特徴的なのは海生のキャラクター。(数少ない)友達に「自己抑制的」と形容されるほど自己主張しない。でもまあ、この手の「幽霊話」にはありがちなキャラクター造形か。で、「幽霊話」はどう終わらせるかが難しい。そもそも生と死によって分けられているのであり、どう繋ぐにしても不自然(超自然)になる。あとは読者のカタルシスをどこまで供給するか。私個人は、この終わりでよし。読後一日経ったぐらいで、ちょうどじんわり染みる。