『ゼイリブ』
長らく見たいと思っていたが近くのレンタルショップにはなく、アマプラ有料レンタル400円。なんだかんだ配信が便利。1988年のジョン・カーペンター映画。街に失業者が溢れる不況。流れ者のネダはバックパックひとつで建設現場にたどり着く。貧民キャンプ?を仮の宿にすると、向かい側の教会でなにやら不穏な動きが。警察による教会への襲撃と、キャンプの強制排除の後、ネダは誰もいなくなった教会の隠しそうこからサングラスを見つける。サングラスをかけると、街の広告、雑誌は「消費しろ」「眠っていろ」と権力に従順で消費に貪欲な資本主義の臣民であることを無意識に刷り込むメッセージであることに気がつく。街中の人も半分ぐらいは不気味なエイリアンが紛れ込んでいることに。銃をとりエイリアンを片っ端からぶっぱなすネダは、やがて反体制組織と合流する。トランプ時代を「分断されたアメリカ」「二つのアメリカ」と形容することもあるが、もっとずっと前からアメリカは分断されていたのだ、と気づく。日本的文脈だと主人公はどちらかといえば権力側(警察、軍隊、研究所など公的組織の一員)で、市民に紛れたエイリアンとの戦い、となりそうだが、アメリカの場合は、政財界とメディアといういわゆるエスタブリッシュメント(体制側エリート)が完全にエイリアンに牛耳られている。忍び寄る支配に気がつくのは、教会、ホームレス、肉体労働者で、彼らは武器をもって自衛=防衛する。どっちが主人公かといえば、トランプ主義者なのだ。