ゴミの生活(四代目)

最近はアマプラをdigってます

『her/世界でひとつの彼女』

 例えばiPhoneに入っている人工知能による音声アシスタントSiriが、むっちゃ高性能になったとして、人間がSiriと恋人同士になる可能性はあるだろうか? 本作はちょっと先の未来を舞台に、人工知能OSと、手紙代筆サービスのライターとの恋愛を描く。妻と別れ失意のセオドアは、音声でアシスタントをしてくれるOS・サマンサをインストールする。いつでもどこでもいっしょにいて、常に自分のことを気遣ってくれている、つまり自分に最適化されているサマンサに、セオドアは徐々に惹かれていく。しかし、人工知能に「惹かれる」自分は、他の人からは「引かれる」のではないか? 人工知能との恋も「あり」とする人がいる世界で、セオドアはサマンサとの関係を続けていく。しかし、彼女には肉体がない。どうやってこの恋愛を「形」にしたらよいのだろうか? いや、そもそも愛に形なんてあるのか、必要なのか? 大変スタイリッシュな映画で、その世界をぼーっと見るだけでも楽しい。手を伸ばせば届きそうな世界が慎重に作りこまれている。それに、映画が投げかける問いも、いくつかの仮定の上でのものだが、恋愛関係における本質をえぐっている。私たちは相手の何に惹かれるのだろう? 私たちは相手の何が欲しいのだろう? 私たちは相手から何を望まれたいのだろう? 主演はホアキン・フェニックス

 

her/世界でひとつの彼女(字幕版)

her/世界でひとつの彼女(字幕版)

  • 発売日: 2014/12/03
  • メディア: Prime Video