ゴミの生活(四代目)

最近はアマプラをdigってます

『来る』

モラハラ妻夫木と、霊能力者柴田理恵がおもな見どころ。『来る』の柴田理恵はすごいぞすごいぞと聞いていて、どれくらいすごいかと思ってみたら、とてもすごかった。バラエティにも出演している霊能者だが、力は本物で、満身創痍になって戦うのは、かっこいい。霊能者姉妹は松たか子と小松奈々(松コンビだな)。松たか子の霊能バトルの様子は、このまま彼女が年を取っていけば『AKIRA』のミヤコ様になるんじゃないかと思うほどだった。前半のモラハラ、不倫、NTR話は、後半のためにいるのかいらないのか、という議論はある。原作未読だが、映画だけで考えると、確かに物語(プロット)の水準では、前半・後半の結びつきはそこまで必然性を帯びていないようにも思う。しかし人間のどうしようもなさ、特にモラハラ男の薄っぺらい「理想の結婚」像を、あそこまで薄っぺらく描けるのは素晴らしい。現代のホラーで「何か」がやってくるのは、古びた団地(『回路』)や、廃トンネル(『犬泣村』)だったとして、妻夫木・黒木夫婦が住むような白くてきれいで真四角な(タワーとまではいかない)マンションに「何か」を呼び寄せるには、そこを徹底的に薄っぺらい場所として表象するのが良いのだともいえる。そう考えると、整然さvs雑然さ(猥雑さ)が対立軸なのかも。最後の霊能バトルでも、「とりあえず霊能者」ってな感じで寄せ集め、ファブリーズすらありがたみ=効力があるようなので、そのでっちあげ感(ブリコラージュ?)は、あの白い四角いマンションの空間、窓から切り取られる空との対比・対決になる。いろいろ書いたが、とにかくオススメ!

 

来る

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