振りかざす正義に暴力はないのか −−白岩玄『ヒーロー!』(河出書房新社)
- 作者: 白岩玄
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2016/03/16
- メディア: 単行本
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(436文字)
『野ブタ。をプロデュース』の著者による新刊。デビュー作は好、故hkきで読んだ(ドラマは見ていない)。その後、しばらくブランクがあったあと、何作か発表しているらしい。
学校からいじめをなくすために、いじめよりも目立つことをやろう、と考えた英雄。中学時代からの演劇部の女友達・鈴に演出での協力を仰ぐ。相談した結果、休み時間毎に校庭でパフォーマンスをすることに。校長も説得し2人の計画は順調に始まったが、同じ演劇部の脚本担当・玲花が敵対的な行動をとる。鈴に当てつけのように、違うパフォーマンスを始める。鈴と玲花の間に何があったのか? いじめをなくす英雄の計画はうまくいくのか? そして謎の美少女(!)転校生は、3人にどう関係するのか? テーマは「正義」。その正義は暴力ではないのか?
するりと読める。勢いもある。細かいツッコミどころはなくはない。(そのやり方じゃいじめなくならないよね)でもまあ、楽しく読めたので良いと思う。筆者は、こういった中高生の人間関係、空気感を描出するのがうまい。