ゴミの生活(四代目)

最近はアマプラをdigってます

住野よる『また、同じ夢を見ていた』(双葉社)


また、同じ夢を見ていた

また、同じ夢を見ていた


(本文504文字)

『君の膵臓をたべたい』の著者による新刊(といっても2016年2月)。図書館で借りた。『君の膵臓』も借りようと思ったが、延々と貸し出し中なので。人気作家だ。話題にもなった。

小学生の「私」は、本が好きで「かしこい」女の子。けれど(だから?)馬鹿な男子がいるクラスでは浮いていて、放課後は、リスカ少女「南さん」、季節を売る仕事をする「アバズレさん」、お菓子を作ってくれる「おばあちゃん」のもとを順番に猫と一緒に歩いて回る。この3人の「私」の友達は、いったい、だれなのか? クラスで「私」の隣に座る、絵を描くことが好きで引っ込み思案な桐生君が、本当に困ったときに、「私」はどうやって彼の助けとなれるのだろうか? 基本軸はこの2つ。

ファンタジーというかSFというか、そういう仕掛けがある。この仕掛けはわかりやすいもので、安心して読める。視点人物の「私」が小学生だから、語り口は自然、柔らかいのだが、この視点はもちろん純粋な小学生というよりも仮構された小学生で、言葉には不思議な深みが宿っている。3人の友達、「同じ夢」としてくくられる小学生時代の思い出が、可能性としての今(ありえたかもしれないもう一人の自分)を生んでいるのだろう。