ゴミの生活(四代目)

最近はアマプラをdigってます

『シンクロナイズド・モンスター』

失職し恋人に振られ、アルコールの問題(飲みすぎというレベルを超えてもはや依存症)の主人公グロリアは、都会を離れ地方の故郷へ帰る。そこで小学校時代の同級生と再会、彼が経営しているバーで働き始める。仕事が終われば仲間どうして朝まで飲む生活が続く。ある日、ふらふらと公園の砂場に足を踏み入れると、ちょうど同時刻に地球の反対側=韓国ソウルで巨大な怪獣が、同じようにふらふらと現れる。グロリアは自分と怪獣が連動=シンクロナイズドしているのでは、という受け入れがたい事実に気が付く。設定が最強に面白い。主演アン・ハサウェイがかわいらしく演じているので「お酒の失敗」というソフトなくくりに思えるが(トレイラーもそんな感じだったが)これは深刻でヘビーなアルコール依存症の問題でもある。酒に酔い記憶を失くした自分が何をしたか全く覚えてない。それがたわいのないことならともかく、誰かを傷つけたり、あるいは自分を傷つけたり、そんな重大なことでも記憶にないし、記憶になければ反省もできないし、責任も感じられない。地球の反対側に出現し、街とビルとそして人を踏みつぶす巨大なモンスターは、酒に酔って暴れている自分のメタファー。最初は「いい人」であり、やがて「いい人であることをやめる」と言い放ったオスカーもまた、アルコール依存症であり、病人なのだ。彼の苦しみは理解できないが、彼が苦しんでいることはわかる。病人にとって酒をやめることは、ほとんど不可能ではないか。最後に彼女はお店で何を注文したのだろうか? もちろん、酒ではないのだと思う。

シンクロナイズドモンスター(字幕版)

シンクロナイズドモンスター(字幕版)

  • 発売日: 2018/05/02
  • メディア: Prime Video