ゴミの生活(四代目)

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滅びる世界の秩序――ベン・H・ウィンタース『世界の終わりの七日間』(ハヤカワポケットミステリ)

世界の終わりの七日間 (ハヤカワ・ミステリ)

世界の終わりの七日間 (ハヤカワ・ミステリ)


(434文字)

小惑星マイラが衝突して世界が終わる。その七日間の話。『地上最後の刑事』『カウントダウン・シティ』に続く三部作完結編。

主人公ヘンリー・パレスは元刑事。小惑星を破壊できると信じて活動するグループとともに消えた妹ニコを探して、打ち捨てられた警察署にたどり着く。道中を共にする相棒は、地下室の存在をかぎつけ、問題はどうやってコンクリートのふたをどけるかになる。また近くの森で、殺されかかった女性を見つけ、ニコと関係があると「元刑事」ヘンリーは考える。

殺人事件の捜査は被害者のためのものではない。乱された秩序を取り戻すため。生き残っている者たちのため。ヘンリーはいう。しかし、秩序がのっかる世界が崩れかかっているときに、秩序を保とうと努力することは意味があるのか。小惑星の出現以来、だれもがおかしくなった。ヘンリーも。

『地上最後の刑事』は、ハードボイルド&ミステリ色が強かったが、今作は地球滅亡までのカウントダウン直前でもあり、謎がどうこうよりも、どう終わりを迎えるのかが焦点。