ゴミの生活(四代目)

最近はアマプラをdigってます

『第9地区』

アマプラ。無料。いつもググってからではないと書けない監督、ニール・ブロムカンプ。南アフリカヨハネスブルク上空に突如出現した巨大な宇宙船。向こうから何もないので、こちらから尋ねてみると、そこには体調不良の宇宙人(似ているので、エビと呼ばれる)が大量に押し込められていた。まるで難民船のようで、急遽、地上に降ろされ食糧を与えられるが、かといって人間社会に溶け込めるわけでもなく、スラム街に押しやられる。それから20年。地元人間と第9地区に追いやられたエイリアンとの間の緊張は高まり、傭兵をやとったMNU(超国家機関)が、強制移住の手続きを始める。MNUの担当文官が、エイリアンの住居を捜索していると、謎の液体を浴び、体が徐々にエイリアンになっていく。人間でもエイリアンでもない彼は、第9地区に身を潜め、なんとか元の姿に戻れないものかと画策する。

エイリアンが良い。明らかに人類よりオーバーテクノロジーなのだが、宇宙船まるごと「棄民」の様相で、人類との「理想のコンタクト」がすべて拒絶される物語。積極的にコミュニケーションをとっているのは、スラムを取り仕切る人間のギャング(ナイジェリア人)たち。大好物の猫缶を売りさばく。MNUも秘密裏にエイリアンの武器を収集するのだが、エイリアンの遺伝子をもたないと操作することができない。オーバーテクノロジーだがスラムでゴミ拾いをしている、というのは皮肉といえば皮肉なのだろうが(エイリアンは人間の人種のメタファーだ)、十分にあり得る想定なのが面白い。私たち人間からしてみたら宇宙に飛び立っていく宇宙飛行士は究極のエリートだが、宇宙開発が十分に進んだ文明では宇宙移民が「棄民政策」に重なるなんてこともあり得る。強力なパワードスーツは、同じ監督の『チャッピー』にも出ていて、パワードスーツ好きなのが分かる。

 

第9地区 (字幕版)

第9地区 (字幕版)

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