ゴミの生活(四代目)

最近はアマプラをdigってます

『THE WAVEウェイヴ』

 DVDレンタル。ドイツで実際にあった話(に基づいた映画)。高校の実習系授業で、独裁制を担当することになってしまった体育教師が、1週間かけて生徒の独裁者になっていく。独裁制とは何かという話を初回の授業でしていたら、生徒の反応はある意味でテンプレ、「はいはいナチスが悪いんでしょ」。「現代ドイツで独裁者は生まれない」と言った生徒に触発されて、教師は生徒を支配していく。といっても暴力なんて一切使わない。机の配置、席替え、あいさつ、先生に「様」をつける、手を挙げて立ってから発言、足踏み、共通の敵、制服(軍服だとさすがにネオナチなので、白いシャツとジーンズ)、ロゴなどなどをどんどん導入していく。それぞれが抱える悩み、不安を、独裁制がもたらす「団結力」が消してくれる…ように見える。独裁者は暴力を振るわないのだが、ウェイヴを名乗るこの集団は暴力的になり、脱法・違法行為、他の団体とのいざこざ・衝突が発生する。そして、ようやく危険性に気づいた教師は、生徒を講堂に集めるのだが…。日本におけるファシズム研究の第一人者・田野大輔『ファシズムの教室』にも紹介されていた。田野は大学生を対象に全2回でファシズムの体験授業を行う。それは、ファシズムへの免疫をつけるためのものだが、そのような相対化の視点が指導者にないと、やばいなー、というが感想である。高校の授業を舞台にしながら、青春映画っぽい要素(若者の悩みと、暴力的な発露)があり、しかしオチは「教育的」であった。

THE WAVE ウェイヴ [DVD]

THE WAVE ウェイヴ [DVD]

  • 発売日: 2010/04/28
  • メディア: DVD