ゴミの生活(四代目)

最近はアマプラをdigってます

『スローターハウス5』

 配信がないのでDVDで見た。カート・ヴォネガットの代表作の映画。クオリティは高い、と聞いていたが、たしかに。原作は2〜3回読んでいるのだが、なんとなくうる覚えで、それでも映像化するならこんな感じになるだろうな。第二次世界大戦アメリカ兵ビリー・ピルグリムはドイツ軍の捕虜になり、軍需工場もなく「安全」と言われるドレスデンで、捕虜生活を送る。が、ある時、連合軍の大規模空爆により、一夜にして都市は廃墟に。10万人もの人が殺されるという事態に直面したビリー。戦後、帰国し結婚し、妻と子供という家族が増え、戦時中とは正反対の落ち着いた生活を送っているように見えたが…。ビリーはトラルファマドール星人という宇宙人に連れて行かれ、過去・現在・未来を同時に経験するようになる。実際、映像でも、過去・現在・未来はなく、時系列はバラバラに断片化され、似たようなシーンが、シームレつに接続される。トラルファマドール星人が体験させるビリーの時間感覚は、映画的といえば映画的。それが十全に発揮されている。戦争のトラウマによって頭がおかしくなり、現実を認識できなくなった、というのが周囲(特におかしなことを言い出した本人を病院に行くように説得する娘夫婦)の受け止め方であるわけだが、爆撃で10万人の人を殺す「戦闘行為」とどっちが「頭おかしい」のか。というか、そもそも比べられるのか。ドレスデンの残虐行為とナチスの残虐行為を比べて、相対的にマシ=だから正義、と強弁する作家(キルゴア・トラウト)も出てくる。原作小説をまた読みたくなったのだが、つい先日、グラフィックノベル版を買ったので、こちらを読み進めることにしたい。トラルファマドール星人のこちらには描かれている。

スローターハウス5 [Blu-ray]

スローターハウス5 [Blu-ray]

  • 発売日: 2020/08/05
  • メディア: Blu-ray
 

 

Slaughterhouse-Five: The Graphic Novel

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