ゴミの生活(四代目)

最近はアマプラをdigってます

『何者』

アマプラ。朝井リョウの同名小説が原作。(朝井リョウは小説も面白いが映画はもっと面白い。)就活ホラー映画、と個人的には呼んでいる。それぞれの事情とそれぞれの目標をもって就活をしている4人の大学生(途中で1人増えるが)が、情報交換しながらやっていく。この情報交換っていうのが、なんともエグい。肩書きだけで中身のない名刺を作ったり、SNSで意識高いアピールしたり、意識高いアピールを揶揄することでもっと意識たかいアピールしたり、友人の内定先の企業名と「ブラック」で検索したり。完全に没入することはダサい、が、没入しない限り、どこか相手に自分の空虚さを見透かされる。非常にむずかしい「ふわふわした」身の振り方を迫られる。ただそれだけだと、意識高いゲームで、その描写だけは非常に悪意のあるものになってしまう。のだが、それをギリギリで堰き止めているのが、作中には姿を示さないが、主人公・拓人(佐藤健)の演劇サークル時代の相方(で最後は決別)したギンジの存在。彼は完全に自分の道を見つけ、没入をした。しかしその姿は劇団のウェブサイトやSNS、拓人の回想にしか登場しない。身近にはいない向こう側の存在、が「いいね!」合戦の底を支えている。ギンジの「頭の中にある限り、なんだって名作」(大意)はけだし名言。二階堂ふみは、一瞬、というかしばらく、宮崎あおいに見えた。似すぎ。映画の後半も後半の演出が、演劇的になるのが非常によい。全ての会話はセリフである。セリフとは舞台でされる発話である。舞台とは、作られた空間である。それが無限に解体されてしまう空間がSNSなのだ。どう会話をセリフにせず、会話するのか? 瑞月(有村架純)は、観客でなくて、対話相手(になりうる存在)。

何者

何者

  • 発売日: 2017/05/10
  • メディア: Prime Video