『回路』
2001年の黒沢清映画。ホラー。よくわからない感じが不気味さを増幅。納得して見れるタイプのホラーではない。時代はインターネットが普及したところなんで、あの世に満ちた幽霊が回路を通じてこっちに滲み出てくる。回線=回路がつなぐのはこの世の人ではなくあの世の何者か。この世の人たちは、どこかみんな切断されてる。コンピューターは、『リング』のビデオテープ的な増殖するコピーというわけでもなく、どこまでも回路。黒いシミや赤いテープが印象的。個人的にはこの年にはちょうど大学生だったので、大学のコンピュータ室の雰囲気が懐かしい。理系の研究室はちょっと美大っぽいが。
確かに怖いんだけど、なんとも言語化しにくい怖さ。たぶんこういう映画そのもの、表現そのものとしかいえないような感情を表現してる作品なんだろう。といえば格好はいいかもしれないが、なんも言ってないのも同じだな。エンディングの静けさは絶望というより開放を感じた。