ゴミの生活(四代目)

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テンション、ニンジャ、南アフリカ――ニール・ブロムカンプ監督『チャッピー』



第9地区』『エリジウム』の監督ニール・ブロムカンプの最新作『チャッピー』。


荒廃する南アフリカ。警察は人工知能を搭載したロボットを治安維持のために投入。開発者ディオンは、それとは別に、意識をもつAIプログラムを独自開発し、会社に無断で廃棄処分予定のロボットにインストールする。目覚めたロボットはチャッピーと名づけられ、言語・知識を習得していく。しかしそれらを教えるのは、ニンジャ、アメリカ、ヨーランディのギャング3人組。それにチャッピーの寿命は、内蔵バッテリーの限界である5日間だけなのだ。


面白いシーンはいくつもある。チャッピーがぼっこぼこにされるところや、単なるギャングになったところ、でも子供みたいな純粋さを見せるところ(無知であること、ルールを守ろうとすることが奇妙に同居している状態)などなど。後半は、脱身体をテーマとする正統派の進化論SFへとあっさり過ぎるほどに接続してしまう。思い返してみればこの監督の作品は、設定を聞くと「へー、すげー!」「マジか!」「そう来たか!」と思うし、映画も前半は勢い良いのだが、後半、エンディングに向かってある意味で「普通」に収束してしまうことがある気がする。カタルシス、といえばそうなのかもしれない。


『チャッピー』のロボットは『第9地区』のエビ星人と立ち居振る舞いが似ている。『チャッピー』のロボット開発会社は『エリジウム』の天上世界の管理組織と似ている。だから3作目は1作目と2作目を足して2で割ったような感じ。


本作品で注目すべきは、ギャングの男女を演じたニンジャとヨーランディは、ダイ・アントワードというケープタウン出身のラップグループのメンバー。名前も焼くと同じもの。彼と彼女の演技は、迫真。